2014年9月20日(土) 天気:晴れ 気温:22℃
昨年の秋に初体験した琵琶湖。
難しかったし、大きな魚を釣ることも出来なかった。残っている印象はただただ「琵琶湖は大きかった」ということくらいで、あっという間に2日間が終わった。
だが、今回は前回とは一味違う。
釣りを教えてくれるという協力者が現れ、しかも・・・事前にとんでもない釣果を聞かされていた。関東で釣りをしている私にとって、50cmオーバーのバスが1日に1本取れれば満足だったが、話を聞くとケタが違った。
いくら琵琶湖がワールドレコードを持っているマザーレイクと言われていても、”釣り”となると湖の問題ではなく、個の能力の問題が大きくなるのは想像がついた。でも、それが「どんなもの」で「どれくらいの差」があるものなのかは想像がつかなかった。
ただ、ワクワクしかなく、東京から約500キロの道のりさえあっという間だった。
仕事の都合をつけ、釣りに付き合ってくれるとのことで、待ち合わせ場所へと車を走らせる。
因みに、長い人生の中で【年上の男性(※以下オサーン)】と待ち合わせするのは人生初だ(笑)
きっかけは「行きたいなら何も考えんと来たらええんちゃいます?」だった。
まあ、確かにその通りだ(笑)
日程が合えば1日くらいは付き合えるとの事。
実に心強い。
釣り人として、どんな釣りをすればそんな釣果が叩き出せるのか?
気持ちは琵琶湖というより、純粋にそっちの方向に傾いていた。
待ち合わせの場所に着いたら、そこには”想像とは全く異なる”男性が立っていた。牛のように食う話しか聞いたこと無かったから、プロレスラーみたいな190cm、100キロみたいな人が出てくるかと勝手に想像していた(笑)
まずは釣具屋へ。
なんじゃこりゃ!!
東京ではお目にかかれないレベルの釣具屋の品揃えに驚愕した。因みに、大型店はどこもこのレベルで商品が置いてあるとの事。
釣具屋散策だけで1~2時間は平気で滞在できる。
するとオサーンが「目的のものを見に行こうか」と。
そう、ここに来た目的は、当然買い物も現地の楽しみのひとつだが、頼んでいたものを取りに来た。ツララのモンストロ71をストックしておいてもらったのだった。
店頭のロッド数本から、一番ガイドバランスの良いものを事前にオサーンが品定めしてくれており、店員さんにお願いして取っておいてもらった。
なぜこのロッドを頼んだかというと、今回の目的は…
巻き物の釣りを教えてもらうこと!
これが最大の目的。
当然、ロクマルを釣ってみたいという思いは強いが、2回の58cmに阻まれ、ロクマルはまだ未経験。
今の釣り(自分の能力)で運を天に任せて釣れるまで投げ続けるということに疑問を感じていた時にそのロクマルを再現性のある釣りで1日に複数本釣っている人間の存在をしってしまい、動画でロクマルが送られてきた時に「自分と何が違うんだろうか?」という疑問を己の目で確かめたかった。
人の釣りを見せてもらい、感じさせてもらうにあたり、自己主張は不要。ただひたすら技術を盗む為に琵琶湖まで足を運んだ訳なので、「言われたことを全てやる」「教わる立場で臨む」というのが今回の目的だった。
ロッドをモンストロ、番手を71にした理由は、事前にどんな釣りをしたいか聞かれ、「オサーンがロクマル釣ってる釣りを覚えたい」と伝えたところ、1つのキーワードが出てきた。
「スコーンをやってみればええ」
スコーンってスイミングジグでその名の通り、「スコーン」とアタリが来るからという理由で名付けられたあのスコーンですか?と聞くと、「そうや」と。
で、ロッドの好みを伝えるとスコーンで扱いやすくて好みにも合ったロッドがモンストロ71じゃないかということだった。今回は教えてもらう身。「それにします!」と即答。
あとは、そのスコーンをどのジグでやるか?だが、渡されたものを言われるがままに買い物カゴへ。
完全に生徒。
その人の釣りを学ぶなら自分の考え方や経験は全て捨てる。
それが礼儀。
指定のジグは色や形は好きなので良いとの事。
ただ、重さはオサーンが選んだ。
どうやらココに肝があるようだ。
「これだけあれば十分」とのことで、渡されたジグは4つ。
それから、具(トレーラー)を選ぼう!と言われ、そこから先のやり取りが衝撃的だった(笑)
具は何が良いですか?
なんでもええ、好きなのを買えばええ。
カラーはどんなのが良いですか?
なんでもええ。
一言で終了(笑)
トレーラーはなんでも良いそうです(笑)
今から教えてもらう釣りのイメージが湧かないと伝えると、トレーラーは3つ2つ選んでくれた。
色は好きなのにせいとのこと。
「あんたが今からやる釣りについては、そこは重要な要素ではない。」との事。
一見、乱暴にも見えるやり取りだが、ワクワクしかなかった。
というのも、多くの釣り人は己の釣りの承認欲求から多くを語りたがる。しかし、オサーンにはそんなことはどうでも良いことなのだというように思えた。そして、やはり初めて出会うタイプの人間だった。
「Bass3君、せっかくやから釣りに行こか?新しい竿使いたいやろ?」と言っていただき、知らないおじさんに知らない場所まで連れてこられた。
車を走らせ、目的地に到着。琵琶湖はやっぱりデカい!
到着するなり、釣りを始めるオサーン。
見よう見まねでスコーンをセットして投げる。
投げる・・・回収・・・投げる・・・回収・・・
回収の度にウィードがモジャモジャにくっ付いてきて、ストレスMAX!そんな状況を横目にオサーンが話掛けてきた。
「巻き方が全然やな」
何を言っているのかサッパリわからなかった。しかも、もう3本釣ったとの事。
しかし、オサーンが投げているルアーを見て衝撃が走った!!(この人、バイブレーション投げてる・・・)
理由は「バイブレーション好きやねん」だそうです(笑)
フック1本のスコーンでこれだけウィードが引っかかってくるのに、トレブルフックが2本ついたバイブレーションをこのモジャモジャの中で巻いていたのだ。
「Bass3君は巻きがまだまだやね」
釣り人生で初めて言われた一言だった。普段からキャスティングについてもボロクソに言うオサーンだが、キャストのことは言われなかったから、そっちはOKなんだと解釈した。
すり抜けの良いジグでも巻けないこのウィードジャングルをどうやって巻いてるのか?
もう不思議で仕方なく、「なんでウィードが引っ掛からず巻けるんですか?」と質問してみた。
「そこやねん、レンジがキープ出来てないから釣れんのや」
そして、笑いながら「別にインチキしてへんで」と言って目の前で実演してくれた。
ルアーはそのままバイブレーション。ウィードが掛かりやすいルアーだ。
「まず投げるやろ?」と言って投げ、スプールを私に見せてきた。そして、
「インチキじゃ無いってわかるように着底させるで」
「ライン出ていくの見とってや」
「着底したやろ?」と言ってリールを見せる。
「ほな巻きますよ」
確かにラインが着底して落ち着いている。そこからただ巻くだけ。
そして、上がってきたバイブレーションにウィードはついていなかった。
開始30分。ここで初めて、圧倒的な実力差を感じた。
「もう一回見せてください」とお願いした。
オサーンは「ええで」と言って投げる。着底を確認して巻き始めた。
すると、「あ、食ったわ」と言ってロッドを立てる。
上がってきたのは35センチくらいのバスだったが、実演中に釣るなんて何かのバスプロ動画か何かかと思った(笑)2投だった。
「小さいけどレンジキープをしっかりしてれば魚が居れば食ってくる」と言っていた。同時に【この釣り方は間違いやけどな】とも言っていた。この時はこの言葉の真意がわからなかった。
それから、休憩がてらにコーヒーを買ってきていただいて、話をしながらレクチャーを受けた。内容は私の技術ではないため、割愛させていただくが、話を聞いているうちに理屈は理解できた。ただ、言うは易く行うは難しとはよく言ったもの。
そして、こう続ける。
「リーリングって単純やろ?」
「でも、キチンと綺麗にリーリング出来てる人ってなかなか居らんねん。」
「ちゃんと巻けるようになれば、魚も釣れるようになる。」
と。
この時に【ひたすら巻く覚悟】を決めた。そして、巻いてロクマルを釣ることを目標とした。
一通り、話が終わるとオサーンが「ほなら、明日仕事やから帰るわ、頑張って」と言って帰った。オサーンが帰ってからは、ただひたすら巻いた。
教えてもらったこと、そして今の自分には出来ていないリーリングを意識して、巻くことに集中した。
数時間経っただろうか。
少しだけコツを掴んできた。
ただ、コツと言っても釣ってない。
故に、合ってるのか?間違ってるのか?
ココがさっぱりわからん・・・
ここでオサーンの言葉を思い出した。
「どこでも釣れるような魚をわざわざ琵琶湖まで釣りに来たんとちゃうやろ?」
「最低50。これより小さい魚が釣れるという事は、釣り方が間違っていると思え」
つまり、50upが釣れないと、いくら釣れても教わった釣り方とは別物という事になる。
まずは50。
きっかけを掴まないと先に進めない。
そして、何時間巻いただろうか。。。
夢中で巻いていたら、いつの間にか日も暮れていた。
ウィードが引っ掛かって来なくなったタイミングで「コンッ」というアタリが来た。これか!と思ってフッキングすると待望の琵琶湖バスが上がってきた。
DRTシャトル と ワンナップシャッド5インチ のセッティングだったが、丸呑みだった。写真を撮るタイミングであたりが暗くなっている事に気付くくらい集中していた。
一度掴んだ感覚、忘れる前に再現させたい!そして、少しでも感触を掴んでおきたい!そんな思いで、残業確定(笑)
もう夢中だった。
今度は マツラバ に変えて具を スイングインパクト でセットし、同じようにリーリングを意識して巻く。ウィードを回避しながら、付かず離れずのリーリングスピードでレンジをキープしてツラを泳がせるように巻いてくる。
すると・・・
連発で2本目が釣れた!少し自信に繋がった。
しかし、この釣りはブラックバスがルアーを丸呑みにしてくる。だんだん楽しくなってきた!!
【出来る】と【出来ない】の境界線は再現性にあると思っている。
今度は バレッジスイマー に自分の趣味で購入した スタッガーワイド4インチ をセットして同じように巻いてみる。トレーラーが変わると途端に巻き感も変わるため、少し慣れるのに時間が掛ったが、数投後には結果が出た。
サイズこそ40センチ前後ではあるが、連発で仕留められて満足だった。
少しきっかけを掴んだ気がした。
そんな時にオサーンからの電話。
「釣れてるけ?」
40センチ台がポツリポツリと釣れだしたことを伝える。
そしたら一言。
「その釣り方は間違ってる。」
「その魚を延々と釣りたいならそれでええ。」
「でも、デカいのんを釣りに来たんやろ?」
「なら、何が違うやり方を考えてみて下さい」
さすがオサーン(笑)
こちらに来る前に「地獄のオサーンガイド」という言葉を耳にしていたが、
妥協は無い(笑)
「昨日、【この釣り方は間違いやけどな】って言ったの覚えてる?」
「それ間違いやねん。間違えやから、40前後のバスが連発してんねん。」
「Bass3君の狙ってるバスは50cm超える魚やろ?その釣り方じゃロクマルは釣れん」
「スコーンでデカいのを釣りに来たんやろ?」
「なら、同じことしてても釣れません。」
「絶対とは言わんけど、たぶん50upは釣れません」
ここまで気持ちよく言われると諦めもつく(笑)
ちょっと何言ってるのかわからなかった。でも、説明を受けるうちに理解した。
釣れたのもつかの間、釣り方をリセットした。
確かに、釣れるのは40~45の金太郎アメ状態。
オサーンが言っていた「このサイズで数釣って満足ならその釣り方でええ」
という言葉を思い出し、ここで自分の釣り方を否定する事にした。
要は、1本釣れた時点でこのサイズが釣れるなら釣り方を変えないといけないらしい。40前後のバスが釣れたら同じやり方をすればそのサイズは纏まって釣れるだろう。でも、狙っているサイズが一回り大きなサイズだった場合は、同じ釣り方をしてもそのサイズとは出会えないし、釣れたとしてもマグレであるという事だった。
そんな考え方で釣りした事は無かったし、オサーンは続けて「アタリを取りに行ったら負け」という表現をしていた。これも理解した。
釣れないより釣れた方が楽しいに決まっている。だが、40前後のバスしか釣れない釣り方をしても、50、60センチに出会える確率は下がると。
なぜなら、40前後が活動しているレンジをアンタは引いてるという事らしい。
昨日の「間違い」の意味がようやく理解出来た。
それから少し休憩して、車の中で考えながら仮眠した。「間違い」を【正解】に近づけるためには何をしたら良いか考えていたら寝ていた(笑)
「最低50up」
これを釣るまでは正しいか間違っているかで言うと間違っている。
釣りに正しい間違っているというのは無いが、
「”大きい魚を釣る”という目的があるので、それを教えてます。」
「最低50センチは無いと教えた釣りは間違いと思ってください。」
こう言われたからにはそうなんだろう。
愚直に教えられた事をやり通すのみ!
翌朝、昨日の話を教訓に魚が連発したレンジ以外の違うレンジに焦点を定めてひたすら巻いていたら、今までとは明らかに違う吸い込み系のアタリが来た。
昨日は一生懸命ウィードのツラを引いていたが、そこでは40前後のバスしか釣れなかった。でも、3本の再現性のある釣りが出来たので、これはGood。ならば、違うアタリが来るレンジを探し当てるまで巻き続けるのみ!と思って巻いていたため、
これだ!と思った。
同時にオサーンに言われた事を思い出した。
「食っても絶対に巻くことをやめたらアカン」
「巻き続けんといかん」
これを忠実に守り、いざ巻き合わせ。
数秒の間に色々な言葉が脳内を駆け巡った。
フッキングしたら、今までとは明らかにウエイトが違うのが分かった。同時にモンストロ71が三日月のような綺麗な弧を描いており、初めて「このロッド最高に良い!」という実感が持てた。
ロッドのパワーも相まって、ファイトは数秒だった。
オサーンに答え合わせの電話をしよう!と思い、写真を撮ろうとするが、昔から写真が下手で1枚目はこんな感じ(笑)
これじゃサイズ感が全くわからん(笑)
ちゃんとまっすぐ写真を撮ってみたら、昨日とは一回り大きかった。
ただ、昨日の一件で学習した。これも「間違い」なのだと。そして、これもロクマル釣るなら間違いですよね?と言うとオサーンはこう答えた。
「せっかく琵琶湖に来てボウズで帰る人間もたくさん居る。」
「普段、琵琶湖で釣りしてる人間も50upすら釣れない人間も居るんやから、まあ良かったんちゃうん?」
予想と反する答えが返ってきて、良いのか悪いのかわからないが、まあ1日の突貫工事でとりあえず50upを釣ったということで及第点はもらえたのかな?と思った。
ただ、個人的には知らない土地で一人で釣りして、しかも教えてもらっている手前、恩返しは釣ることしかないと思っていたから、素直に嬉しかった。
そして、嬉しさのあまり、携帯を地べたにおいて2枚ほど写真を撮った。
琵琶湖のバスは太い!長さに対するウエイトが他の土地のバスとは段違いだった。
その後はオサーンとオサーンの友人と合流し、一緒に釣りを楽しんだ。
スコーンが様になってきたようで、オサーンの前でも釣ることができた。オサーン友人が気を使って「写真撮りましょか?」と言ってくれたが、「大丈夫です」と言ってる自分が居た。
今思うと、せっかくの気遣いだし、記念に撮ってもらった方が良かったのかな?と思ったが、
もう既に
そのサイズの魚は狙っていない = 間違い
という自己整理が出来ていたので、興味が無かったというのが本音。
今回の琵琶湖遠征。
大きな学びと大切な出会いに恵まれた。この人からもっと色々なことを聞きたいと思ったし、直感的に”長い付き合いになりそうだ”と思った。
ロッドは頼んであるから、リールに20lb巻いて来い。ルアーは現地調達すればいい。
この言葉だけで琵琶湖に来てしまったが、結果的に凄く良い経験になった。世の中、動いたもん勝ち。もっともっと色々なことを教えてもらおう!そう思った琵琶湖チャレンジ2回目でした。
【今回使ったタックル】
【釣れたルアー】